『第21回岡本太郎現代芸術賞』

​(敏子賞もらったよ)

2018年2月16日~4月15日

川崎市岡本太郎美術館

《Oの慰霊》

2017年の春に『DeathLine』展をやって、次はアイドル"O"をテーマにした作品を作ろうと決めていた。​

彼女の出来事はとても繊細で難しく、扱うには相当な覚悟が必要だと感じていてそれを証明したくて発表の場にTARO賞を

選んだ。​

​提出したラフ画

この制作に1年間かけた。もう本当にまるまる1年ずっと制作だけ。そんで9月ぐらいに応募して、合否の発表が11月中旬にある。たろー賞は応募する際、現物ではなくラフスケッチや展示案を提出する。ここで落ちたらどうしようと11月頭くらいはそればかり考えてビクビクしていた。あんなにポストばっか開けて中身を確認しまくったことはない。通知が中々こないので会う人会う人に「今年はたろー賞だそうと思ってるんです」と言いふらした事とか無駄に後悔した。

入選が分かった時はそれみたことか!!!!と心の中で小躍りし、通った事をすぐに友人知人に言いふらした。

《Oの慰霊》と個展『四月の人魚』はともに1986年4月に自死した1人のアイドルをモチーフにしている。

2015年に母が自死してから僕は自殺に関する本をいくつも読んだ。人がなぜ自ら命を絶つのか、それがどうしても分からず知りたかった。その本の中でたびたび登場するのがこの1986年4月の出来事で、当時人気だったアイドルOが投身自殺、その影響を受けた少年少女が次々に後を追い若者の自殺が社会現象になった、というものだった。僕はそのOさんというのは誰だろうと思い検索するとすぐに岡田有希子さんだと分かった。

亡くなった四谷四丁目に足を運び、愛知県にある彼女のお墓にも行った。

命日には四谷に今でもファンが集まるということも知り、2017年4月8日に現地へ。新宿のお花屋さんで花を買ったら「岡田さん、ですか?」と聞かれた事が印象に残っている。

大きな絵を覆う様に鳥が描かれた絵馬を配置。この鳥の数は21764羽(数えながら作った!)で2016年に自殺した人の数で制作中の最新の数字。

日本では毎年2万~3万人の方が自殺している。ただそれは警視庁が発表している「自殺だと分かる」人の数で、遺書がなかったり分からない人は変死という扱いになる。他にも行方不明の方もいる。だから本当はもっと多いのだろうけど、それは明確にならないので最低でもこれだけ、という気持ちでこの数は拵えようと思った。知られていないけど1人の自殺者に対して平均5人の「死にたい」と相談されていた近親者がその後の後遺症に苦しむ。

もちろん「こんなに人が死んでいるんだぞ!大変なことだ!」と啓蒙したいわけではなくて、僕は自ら死んでいった人達のために絵を描きたい。この鳥のイメージならそれが可能になると信じているし、岡田さんの自死は本当に大きな影響を与えたけど、残された人達がこの32年間彼女を「慰霊」してきたことやその現場を見て聞いて、人は死んで終わりじゃない、ということを初めて知った。

上っ面の「道徳」ではなく死者を忘れなくていいし、その死を乗り越える必要もない、人は生きている限り常に残される側になるけどでもそれ哀しくともそんだけじゃねーからっていう作品を作ろうと思った。

たろー賞は美術館の方も面白いし展示に融通利かしてくれまくるし、第21回の同期入賞の作家さんも面白い人が多くて本当に楽しかった(搬入・展示作業はマジで猛烈にキツくてヤバかった)し、​次に繋がるすごくいい体験だった。ワタリウム美術館やオンサンデーズ、旧松田邸、ダストバニーに続き展示会場を毎回好きになれるのは最高。

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